ブライトンの男女3人組が創り出す、怖いほどに美しい音の彫刻
Ocean Death
Baths/Ocean Death
2. Fade White 3. Voyeur 4. Orator 5. Yawn
・2014年05月21日発売予定(Digital) ・2014年07月16日発売予定(CD) ・Catalog Number:TUGR-014 ・Tugboat Records ・歌詞・対訳・アーティストへのインタビュー封入予定 ・解説:橋元優歩 |
アーティストとしての評価を決定付けたセカンド・アルバム「Obsidian」の姉妹篇的作品
10年代屈指の抒情派ビートメイカー、第二幕最終章
他のアーティストと比べる必要なんてない…アイディアが形になり、永遠とこの世に残る
時間とはおそらく、時計の針の先にはじめて死を意識したときにはじまる。Bathsの場合その転換点がビートメイキングにおける転換点に重なっていたということがおもしろいがこの後は、本作によって決着された黒い『Obsidian』期の次に見せてくれる色を楽しみにしたいと思う。Bathsの才能はあらためてすさまじい。人ひとりのこうした魂の成長譚を表現を通じて眺めさせられることなどそうはないだろうから。..(ライナーノーツより)
2013年12月に行われた東京・名古屋・京都の来日公演も大盛況の内に幕を閉じたLAの奇才ビートメーカーBaths。最新作EPが遂に完成!本作は、アーティストとしての評価を決定付けたセカンド・アルバム「Obsidian」(米Pitchforkは8.6点のBEST NEW MUSICを与えた)の姉妹篇的作品。前作「Obsidian」に通じる暗いポップサウンドは聴くものを惹きつける。今作もマスタリングはBathsの作品ではお馴染みのDaddy Kev。リード楽曲M1「Ocean Death」は早くもPitchforkでBEST NEW TRACKを獲得。Bathsの国内盤ライナーノーツを全て執筆しているele-king 橋元優歩氏によるアーティストへのインタビューを封入。
Baths
LA在住, Will WiesenfeldことBathsは現在25歳. 音楽キャリアのスタートは, 両親にピアノ 教室に入れてもらった4歳まで遡る. 13歳の頃には, 既にMIDIキーボードでレコーディングをするようになっていた. ある時, Björkの音楽に 出会い衝撃を受けた彼は直ぐにビオラ, コントラバスそしてギターを習得し,新たな独自性を開花させていった. ファースト・アルバム「Cerulean」はインディーロック~ヒップホップリスナーまで巻込んだ。
収録曲Ocean Death パフォーマンス映像
もしObsidianを昨年聴いていたら、もう理解しているはずだ。Bathsとしての2作目で、Will Wiesenfeldは自ら受けた大きな影響を暗くも美しく表現している。他のアーティストと比べる必要なんてない。PitchforkがBest New Musicとして8.6をBathsに与え、「ポップである事を信じたくないと思う人々に対面するのがこの作品だ」と言った。
才能で満ちあふれているBathsのセンシティブな面、ロマンチックな精神、それと奇麗なファルセットにより完全なるアーティストとなった。Ocean Death EPはObsidianの次の作品であり、コンパニオンの作品と言えるだろう。このタイトルとオープニングの歌はCerulean(2010年)が出来る前に既に存在していた。
Ocean Deathは美しい作品だ。5曲でわずか20分間。あまり考えすぎない事がテーマだ。すべての曲は完璧に仕上がっているが、余計な装飾はしていない。サウンドはやはり暗いポップ。Ocean Deathは海の下にあるような雰囲気だ。歌詞は暗く、シンプルだが天国のような音が響いている。3 A.Mに感じるような感情はFour TetやPantha Du Princeを想起させる。ビートはミニマルテクノのように聞こえるが、最大の感情がこもっている。Ocean Deathの何曲かはスペインのホテルで録音されたが、ほとんどはObsidianを録音した同じ場所であるLAの友人の家で録音されている。
二つの作品は似たような道を辿っている:暗い歌詞、まっすぐなボーカル、そしてエレクトロニック音楽をポップ音楽と混ぜる手腕。彼の音楽は死、無感動、寂しさを表す。もうすでに終わっている人生の一つのチャプターの最後のラブレターに聞こえる。もしかしたらもう終わっているのかもしれない。彼の曲は3つ目のアルバムに向けて作られており、今までとは違う方向へ向かっている。
前に存在していた物を新たに使うのはBathsらしくない。Ocean Deathは奇麗だが何かが足りないアイディアを生かす実験だったのだ。私たちはこの楽曲群に出会えてラッキーだ。Bathsは悲しい曲を美しく見せる才能を持っている。感情は生のままだが、彼の音楽を作るスキルは磨かれている。ギターはしっかりとプロセスされており、ボーカルはレイヤーされ、溺れ、そして生まれ変わっている。でも一番残るものは曲自体だ:そう、アイディアが形になり、永遠とこの世に残る。